販売品について

購入にあたって

弦楽器を購入するにあたって、こうしたほうがより良品を手に入れられるという心構えについて当店の意見をアドバイスしたいと思います。

物に関しての、判断は他のパートでそれぞれ書いてありますのでそれを参考にしてください。
弦楽器に限らず、すべての買い物に共通しますが、人生の中でも、上から何番目かの高額商品の購入の為、期待値も高いと思います。まず、自分の要望する条件を書き出しそれに優先順位をつけて並べてみましょう。当たり前ですが、予算が無限でない限りすべての要求は満たされないと考えてください。
それでは、予算の範囲(上限と下限)を決めましょう。その範囲の物の中で最良の物を選ぶことに努力しましょう。予算が定まらないと、なかなか絞り込みは難しく結局チャンスを逃すことになります。
ここまではすべての弦楽器屋に共通することだと思います。ここからはストラッドのお勧めする方法です。

自分の楽器お持ちで買い換えたい方は、何が気に入らないか明確にします。殆どの場合は、実は自分の感じる楽器からくる違和感が多いようです。なんだか弾きにくい、どうもやさしい音が出ない、音がこもった感じがするなど等です。気に入らないから替えたいと感じるのです。
そこで皆さん楽器屋巡りや情報収集となるのですが、なぜかラベルをもとに探す方法に切り替わってしまいます。次に、年代をコンテンポラリー・モダン・オールド世代はどんなものだろうかと考えを巡らせます。しかし、正直コンテンポラリー以外は、どこで見せてもらえるのかがわからない?大型店舗は、売れ筋としてコンテンポラリーは揃えているが、他はなんだか見せてくれない雰囲気がある…。と壁にぶつかってしまいます。まだ自分の要望が絞れていないため、情報収集する相手を間違っているのです。

そこで大雑把ではありますが、古いものと新しいものどちらがお望みか先ずは決めてみてはどうでしょうか?
それが決まれば、新しいものは大型店が得意とする商品ですし、古いものは、職人さんのいる小さな店舗の得意の分野です。そこでラベルの事は、『鑑定について』で書いてあるのでここでは省きますが、ものすごく高いもの意外は、ラベルは気にしないほうがいい物を選べます。
コンテンポラリーにおいて真作である確率は高まるとは思いますが、反面、一番贋作が作りやすいと言うことを理解しておいてください。ストラッドは小さな店舗で古いものを修理して商品化することが多いので、古いものが得意です。コンテンポラリーをお望みの方は、大型店や職人さんのいない店舗で、コンテンポラリーを当たってみてください。その方が選択肢は多いと思います。

ここで難しいのは、音色に差は感じないのだが、結構価格に差がでます。それは何かと言うと、ラベルの差です。それでもその商品で納得できる方は、その中から選ぶことになります。コンテンポラリーは、一般商品として販売しようすることがより強い楽器です。扱う人やお店がそれを糧にしている場合が多いからです。また、新しいので傷も無く新作なので不具合はないはずですが、ストラッドにはコンテンポラリーの修理依頼のほうが多いのが事実です。小さな店舗は、殆どが少人数で運営している為、大きな売り上げが取れません。在庫を抱えればそれだけ苦しくなります。そこで商売をする以上在庫の量では勝てないので少ない物を丁寧に扱う可能性が高いと考えます。特に、職人さんは、やはり自分が手がけた楽器はいい音色がするように責任を負いたいのです。つまり、商品に対して心がこもっている場合が多いのです。
私は、弦楽器のような、結局個性を買うような場合は、やはり心がこもっているか、いないかで大きく品質は変わると思います。そうなると、古いものは小さな店舗でアフターメンテ付きで買うことをお勧めします。古いものは、同一の物はありません。アフターケアーが必要かもしれません。もちろん、すべての条件がそろう物もありません。楽器は、友達や恋人に出会うのと似ています。理由はなく気があったり、好きになったりします。嫌なところもあります。それ以上に好きだから一緒にいたりするものです。その為には、出身や、毛並み、など気にしすぎると、判断を誤る場合があります。肝心なのは、素直な心です。自分のいい感じだと思うものを選ぶことです。それが結局一番満足度が高いと信じます。勿論、粗悪品を高くかってしまったり、後悔したりもします。それは、もうひとつ楽器屋さん選びというハードルがありますね。もしかしたらそれが一番消費者にとって難しいのかもしれません。

もし、信用できると思ったら素直に条件を言って相談すれば、その店で一番適正と思われる数台を見せてくれます。その中から選ぶとよいでしょう。楽器屋さんは、弦楽器という特殊なものを購入するのではなく一般的な自動車などを購入することに置き換えれば、まやかしのお店に捕まることもないでしょう。極端な値引きや、価格の表示のないもの、根拠もなく将来価値が上がるなどのセールストークに惑わされず冷静に考えれば弦楽器屋の良し悪しを判定することよりも簡単です。

最後に、楽器を選ぶ際は、必ず自分で弾いて自分で決めましょう。誰かのアドバイスで自分の感覚とは違うものを購入すればやはり後で自分に合わずに後悔する場合が多いようです。弾くのは(お付き合いする)、ご自身です。